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語彙習得理論を“現場目線”で活かす!

実際に中学生・高校生の指導にあたってきた教師が、中学・高校現場目線で、語彙習得理論に基づく効果の高い語彙指導・語彙活動のあり方を探る。

紙ベースの英和辞書と語彙習得 その3 ~辞書をすみからすみまで使いつくそう~

コラム

2009年11月19日

 10月、11月のコラムでは、紙ベースの辞書をいかに使わせるかについて述べてきました。復習すると、10月は「辞書の例文」を用いた語彙活動を、11月は「発音、シラブル、アクセント、品詞、接頭辞、接尾辞、コロケーション」の知識を得るための語彙活動をご紹介しました。

 お読みいただいた皆さんのご感想をいくつか挙げてみると

・紙ベースの辞書は、単語一語についての情報がまとまって書かれている点で電子辞書より効果的である。
・紙ベースの辞書は辞書を引いたときに下線などが引けるので、学習の跡が残る点で効果的である。

など、私のコラムに共感していただくコメントがありました。

 
復習になりますが、語彙指導には、大まかにいうと、3つの目的があります。

(1) 語彙サイズを増やす (知っている語彙数を増やす。)
(2) 1つの語彙に関する知識を深める
    (品詞、使用頻度、コロケーション、連想語、アクセント、シラブル数、語法などについての知識を得る。)
(3) 認知速度を速める 
    (その単語を見たり聴いたりしたとき、すぐに認知できる。)

 紙ベースの辞書は、特に上記目的の2において、電子辞書より優れていると思われます。理由は、上記、読者の方のご感想と同じで、紙ベースの辞書は、単語一語についての情報がまとまって書かれているためです。


 最終回の今回は、「辞書を“読ませる”」ことに主眼を置いて、電子辞書にはない紙ベースの辞書の魅力を考えてみたいと思います。

まず、最初の2つの活動は、単語一語についての辞書の記述を読み、どんな知識が得られるのかを確認させる活動です。

■辞書を読もう(1)

問1 have, make, get, go のなかで一番ページ数(行数)の長いものはどれですか?
  予測してみましょう。
  予測(    )
  実際に一番ページ数(行数)が一番多かったものはどれですか?
  (    )
  そこには、どんなことが書かれてありましたか?書かれているものに○をつけましょう。
  意味(   )つ  品詞、 自動詞か他動詞か 発音, 例文(    )つ、 絵、  熟語(   )つ  その他(        )

問2 in, on, for, to のなかで一番ページ数の長いものはどれですか?
   予測してみましょう。
   予測(    )
   実際に一番ページ数(行数)が一番多かったものはどれですか?
   (    )
  そこには、どんなことが書かれてありましたか?書かれているものに○をつけましょう。
  意味(   )つ  品詞、  発音, 例文 (     )つ、 絵、 
  熟語(   )つ  その他(       )


■辞書を読もう(2)
以下の単語を引いて、表に辞書から得られた情報を書き込みましょう。ないものもあります。


 この2つの活動は辞書を“読みつつ” 「1つの語に関する知識を深める」(品詞、使用頻度、コロケーション、連想語、アクセント、シラブル数、語法などについての知識を得る。)という語彙指導の目的に合致したものになっています。


 また、つぎの活動は、辞書のあるページからあるページまでをスキャンニングさせ、以下の問いに当てはまる単語を見つけさせる活動です。

■辞書全体を読もう

問1次の単語はいくつありますか?辞書の該当ページを読んで探して、
  その語を書き出してみましょう。
  (1)Tで始まり、Hで終わる8文字以下の単語
  (2)Bで始まり、Kで終わる5文字以下の単語
  (3)Rで始まり、Gで終わる6文字以下の単語

問2 辞書の次のページには、使用頻度が高い単語(赤字のもの・星3つのものが
   いくつありますか? ページをみて、その語を書き抜きましょう。
   (1)P300~330
   (2)P575~P600
   (3)P40~80

問3 辞書の次のページには、絵のある単語がいくつありますか? 
   ページを見てその語を書き抜き、絵は何をしめしているか、書き出しましょう。
   (1)P1175~P1215
   (2)P780~P900
   (3)P250~P320

 この3つの問いは、辞書をあるページからあるページまで、「読み通す」ことで、辞書に「慣れさせる」という目的と合致しています。


  このように、辞書にある情報をすみからすみまで使いながら、語彙指導の目的のひとつである「1つの語彙に関する知識を深める」を達成することが可能です。その語に関する情報を深く知ることにより、その語の定着も促進されます。


 最後に、これも、先月の読者の方のコメントにあったように、辞書指導は「学習者の自律」という重要な意味をもちます。特に今回の「辞書を読む」活動は、「学習者が自力で辞書を引ける力」と多いに関係しています。
 
 辞書の情報をすみずみまで使用し、学習者が自分で見つけたい情報を見つけられるよう、このような活動を手助けとして、最初の一歩としたいものです。
 


<追記> 3回にわたり、紙の辞書で語彙活動をする方法について述べてきました。しかしながら、電子辞書には、電子辞書のよさがあるので、電子辞書の使用を否定するものでは決してありません。



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コメント

とてもおもしろいですね。
私も紙ベース辞書を推奨していますが、最近は「軽い」「早く引ける」「ゲーム感覚」などで電子辞書を好む生徒が増えたように思います。しかし、私の授業で「電池切れたぁ」と嘆いている生徒をみると、それみたことかと思ってしまうこともあります(笑)。
私自身は読書好きが転じて紙辞書好きになっちょうなもので、「辞書を読む」のは今でも楽しいです。
電子辞書を否定はしませんが、引いたときに周りの新語を見る機会も増えるので、私はやっぱり紙ベースです!

私も高校一年生に毎年、辞書指導から始めていますが、この数年、ぴかぴかの電子辞書を持ってくる生徒の数がぐんと増えました。高校入学のお祝いにもらったりするようです。それもいいのですが、やはり紙の辞書をじっくり読ませたい、と思い、ゲーム的な辞書の引き方指導をしています。電子辞書には電子辞書のいいところがあるけど、紙の辞書も面白いよ、というメッセージを届けられたら、と思っています。どちらを好むかはその人次第ですが、辞書を使いこなせる人になってほしいと思っています。

紙の辞書で学んできた私にとって、電子辞書はなんとも使いづらそうと感じています。
このような辞書を読むという視点で取り組むのは、面白いですね。授業のちょっとしたモジュールなどでできそうだし、これは小学の英語活動にならないでしょうか?歌を歌ったり、劇のような挨拶をするくらいなら、こういう授業の方が身になりそうです。

教室では、「辞書を引きなさい」「辞書を家で引いてきなさい」という指示はよく出されるのですが、生徒にとっては辞書を引いて何を見てくるのかわからないことは多いと思います。また、4月に辞書指導週間を設けたりしても、うまく、次の段階につながらないことも多いです。今回紹介されている活動は具体的に何をすればいいのかわかる活動で素晴らしいと思います。機会を見つけてクラスで使ってみたいと思います。

私も自分の勉強には、電子辞書より紙の辞書を使っています。なぜだろうと考えてみましたが、「実際、引くのが速い」、「絵とかグラフがあって直感的に分かりやすい」、「派生語がすぐ近くにあって、他の品詞の勉強になる」などがあります。

紙の辞書を引くことに面倒くさがらない、むしろ当たり前と思えるような生徒は、何事にも意欲的に取り組む傾向があるようにも感じます。そういう子は勝手にどんどん伸びていきます。

岡田先生のこの取り組みは、紙の辞書だけど、ゲーム的要素を持ち合わせており、楽しみながら語彙を増やせるように練られていると思いました。それに、まず予想させておられるのが、ポイントですね。「どうなんだろう?」と、これまで蓄積した英語力を総動員させているので、脳の中は相当活性化されていると思われます。

それに、生徒の英語力だけでなく、物事への取り組みの意欲をも向上させる効果があると思います。

紙の辞書の活用は大賛成です。紙の辞書から電子辞書に移行するのは容易なのですが、電子辞書から紙の辞書に乗り換えるのは、困難なことだと思います。
 だから今年は高1の1学期は、紙の辞書を引かせることから始めてみました。
岡田さんのタスクはとても参考になります。

紙辞書に対するコメントが多いので、あえて電子辞書についての思うところを書こうかと思います。

最近実際気になるのが
「電子辞書の引き方をどう指導するのか」
です。

私の勤務先(高校)は学校として、統一した機種を購入しているわけでもなく、かといって、辞書の引き方を指導しているわけでもないので、
多くの生徒たちは辞書を上手に使いこなせていないのが現状です。

電子辞書はちょっと調べたいってレベルのときや、とにかくスピードが要求される場合においてはとても有効だと思います。
(紙一筋の人はそうでないかもしれませんが)

メモリ機能なんかをもっと上手に使いこなせると、履歴を使って自作の英単語覚えたいリストなんか作れるのかな、と思ってみたり。

私が知らないだけなのかも知れませんが、電子辞書の有効な使い方、なんてワークショップあったらそれはそれで面白いなぁ、と思うのですよね。


今回も紙の辞書の活用法はかなり参考にありました。私の学校では、入学前に全員同じ辞書を買わせて、アルファベットを教えた後にフォニックス指導と同時に辞書指導を行っています。もちろん紙の辞書しか使わせていません。いつもワンパターンのアクティビティー(早く、多く引く競争やいくつ意味があるか探す調べるもの、反対語を調べる、同意語を探すなど)しかさせていませんでしたが、また新しいアイディアをいただきました。来年の中1には絶対活用させていただきます。いったいどこからそんなアイディアが浮かぶのかすごいの一言です。
Tで始まり、Hで終わる8文字以下の単語
こんなのクイズ形式のアクティビティーは中1は大好きです。
ページを最初に指定していて頻度の高い単語を探すなども競争して探しそうです。辞書指導は小学校で英語を習っていた人、いなかった人に関係なくひけめなくできる活動なので、生徒は大好きなんですよ。電子辞書を推奨する働きもあるようですが、わたしは中1などの学習初心者には紙の辞書がよいと感じています。いろいろなアイディアありがとうございます。実際やってみた後また報告します。

最近の電子辞書は殆どが辞書丸ごとを搭載しているので「辞書」としては紙も端末も差が無いみたいですね。個人的には両方バランス良く活用する方法を生徒に進めるようにしています。

辞書を用いた語彙指導活動、毎回本当に勉強になります。
次回も楽しみにしていますね。

最近は教えている塾の生徒でも、中学生で電子辞書を使っている子をよくみかけます。
たまにそういう子に紙辞書で引かせてみせると、アルファベットの並びにすぐアクセスできないらしく、逐一「abcd・・・」と歌いながら引く姿をよく目にします。

英語のアルファベットは日本語にとっての50音のようなものと考えてる身としては、やはり入門期には紙辞書を積極的に使って、アルファベットに慣れてほしいなーと彼らを見て思いますね。
そういう利点も紙辞書にはあるのではないか、と思いました。

入門期の学習者は紙媒体がいいと私も思います。クラスでは半分以上の生徒が電子辞書を使っていますが、例文検索などは別のウィンドウになったりして、一度に見られないんですよね。そして、いろいろな機能があっても使いこなせず、宝の持ち腐れになっている生徒も…極端な例では、そんなところが面倒だということで辞書を持ってこなくなってしまった生徒もいます。

紙の辞書はアルファベットの順番を覚えていなければ使えないので、中学生にはぜひ、使わせたいです。

上のアクティビティはぜひ、授業でやってみたいです!

 今回の活動は、生徒が辞書に親しんで独力で読むために適していると感じました。小難しいことは抜きに、辞書は楽しめるものだということがわかれば、単語を調べる手間も手間でなくなり楽しくなるかもしれませんね。

 学習対象者によっては辞書の語源の欄までも読んでみると、語彙に対する深い理解が得られると思います。

 もし可能であれば、辞書で引いた見出しの単語に赤鉛筆かマーカーを引いて一度調べた証をちりばめていくと、マーカーの数が増えているのを見かけるごとに段々辞書使い込んでいると実感できますし、また一度引いたことのある語彙の場合は、自分が忘れやすい語だとかよく使う単語なのだなどと新たな思いで確認できてよいのではないかと思います。

 いつも参考にさせていただいております。今回もとても興味深く読ませていただきました。
 私自身も読書の時間に辞書を喜んで読んでいた記憶があります。でも最近は中学生は教科書の後ろの語彙リストを、高校生は電子辞書を使い、辞書の引き方が分かりません。高校入学時に辞書の引き方も扱うのですが、なかなか定着しないのに頭を痛めていました。電子辞書は、初期学習者にとっては便利ですが、優しくありませんね。
 岡田先生が辞書の読書的な魅力を伝える方法は斬新です。そうか!辞書の使い方を教えるのではなく、辞書の面白さを伝えるんだ、と目から鱗でした。知的好奇心の高い子はもちろん、ゲーム感覚で扱えるので英語が苦手な子にも参加できますね。進度に余裕のあるとき、そして入学時の生徒たちにこの方法を実践してみようと思います。
 どうもありがとうございました。

 紙ベースの辞書には賛成です。ひと目で多くの情報が得られることが、電子辞書にはない利点の一つだと考えます。
 岡田先生の著書と今回のコラムといい、いつも目からウロコの辞書の活用方法には驚かされるばかりです。
 辞書を本格的に使用し始めるのは高校生からだと思います。その点をふまえて、1年生の年度当初に時間を費やしてでも紹介されている活動を通して、辞書を「読む」習慣を身に付けさせたいです。

辞書っておもしろいんですよね。中1女子でもう不定詞を勉強している子がいるんですけど彼女は辞書が大好きで、何かひとつ調べるように言うといつまでも辞書を見ています。have, make, get, go がどれだけのページ数を割いてるのか。彼女に今度調べてみようと思います。やる気のある子にもない子にもとっかかりやすい作業だろうなと思いました。なかなか文法を覚えさせることばかりに気を取られてしまいます。それぞれの単語の持つ多様な意味を理解してほしいなあという気持ちがありながらもそこまで手が回らなかったり…。あーまだまだ課題がいっぱいです。


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