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語彙習得理論を“現場目線”で活かす!

実際に中学生・高校生の指導にあたってきた教師が、中学・高校現場目線で、語彙習得理論に基づく効果の高い語彙指導・語彙活動のあり方を探る。

紙ベースの英和辞書と語彙習得 その2 ~辞書をすみからすみまで使いつくそう~

コラム

2009年10月08日

 前回のコラムでは、紙ベースの辞書を効果的に「語彙活動」として使おうという観点から、辞書の「例文」に注目した<辞書で自作クローズテスト><辞書の例文を変えよう>の2つの活動をご紹介しました。

 お読みいただいたみなさんの感想には「今の中高生は電子辞書を使うことが多く、紙ベースの辞書のよさを伝えるのは難しい」というものが2件ほどありました。

 語彙指導には、大まかにいうと、3つの目的があります。

     (1)語彙サイズを増やす (知っている語彙数を増やす。)
     (2)1つの語彙に関する知識を深める
        (品詞、使用頻度、コロケーション、アクセント、シラブル数、
         語法などについての知識を得る。)
     (3)認知速度を速める 
        (その単語を見たり聴いたりしたとき、すぐに認知できる。)

 紙ベースの辞書は、特に上記目的の(2)において、電子辞書より優れていると思われます。知りたい語彙の情報がひとつのところにすべてまとめて書かれてあるからです。そこの部分を生徒にいかに活用させるかが、教員の腕のみせどころといえましょう。授業中に、辞書の様々な情報に目を向けさせる活動を行うようにすればよいわけです。

 もちろん、電子辞書には、電子辞書のよさがあり、上手に使い分けることが大切でしょう。しかしながら、紙ベースの辞書を使わせないのは非常にもったいない、と私は思います。

 さて、前回の復習をすると、あるひとつの単語について、辞書には以下のような情報が載っています。

     a)品詞、b)発音(記号)、c)アクセント、d)シラブル数、e)使用頻度、
     f)コロケーション、g)日本語の意味、h)例文、i)絵、j)類義語、k)類音語、
     l) 接頭辞、接尾辞


 今回は、まず、
      a)品詞、b)発音(記号)、c)アクセント、d)シラブル数、l) 接頭辞、接尾辞

を生徒に考えさせる語彙活動をご紹介します。 

<共通点は何だ?>
つぎの単語に共通する点は何ですか?辞書を引いて共通点をみつけてください。
見つける観点は以下のとおりです。(解答は記事の一番下にあります)
 
 発音、アクセント、シラブル数、品詞、接頭辞、接尾辞
 
問1 何かひとつの点で共通しています。
(1) tear, last, bear, land, spring, light. store
(2) comb, psychology, cupboard, bomb, knife, foreign
(3) huge, global, international, true, honest
(4) elevator, scientific, temperature, transportation, similarly, negotiate

問2 何かと何かをあわせて複合的な観点で共通しています。
(1) about, sixteen, before, agree、above
(2) conduct, increase, progress, record, import, present
(3) government, generation ,nationality, importance, decision


 生徒は共通点を探しながら、辞書の中で普段あまり目を向けないであろう、

     a)品詞、b)発音(記号)、c)アクセント、d)シラブル数、l) 接頭辞、接尾辞

の情報をかなりじっくりと見ることが可能になります。


 つぎの活動はf)コロケーションに目を向けさせる活動です。

■コロケーションの予測
 あるひとつの単語、例えば「leg」などのように、面白いコロケーションが出てくるものを先生が日本語で提示しておきます。

    「美脚」「前足」「後ろ足」「毛深い足」「足を骨折する」「足を組む」

 まず、これらの表現をなんというか、辞書を引かずに生徒に考えさせます。「美脚」は[beautiful leg] などという予測が出たりしますし、「後足」は「back leg」、「毛深い足」は「hair leg」などと予測が出ててきます。予測ができないものは、そのままでOKです。
 次に、生徒は「leg」を引いて、これらのコロケーションに当たる表現を探します。自分の辞書にない場合もあるので、友達と協力して行います。

 自分たちの予測が合っていれば、「あ、当たった!」という歓声があがりますし、「なるほどね」というものについては、「気付き」があるようです。

 
 このようにしてみると、前回と今回のコラムでご紹介した活動で、紙ベースの辞書のいろいろな情報に目を向けさせることが可能になります。

 あくまで授業中に行うことが大切で、独学でやらせると「やらない生徒」「やれない生徒」が出てきます。

  

 さて、辞書最終回の次回は、「辞書をいかに“読ませるか”」をテーマに、f)使用頻度、i)絵などを中心とした語彙の知識の深さを身につけさせる活動をご紹介していきます。「辞書を”読ませ”」て身につく単語の知識については、やはり、電子辞書より、紙の辞書のほうが適していると思います。

<共通点は何だ>解答
問1(1)1シラブル (2)読まない文字がある (3)形容詞 (4)4シラブル
問2(1)2シラブルで、アクセントが後ろ (2)名詞と動詞が両方あり、アクセントの位置が品詞によって変化する(3)すべて名詞で、ment, tion, ity, ce は、名詞を作る接尾辞である。

<コロケーションの予測>解答
slender leg, front leg,hind leg, hairy leg,break my leg, cross my leg.



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コメント

岡田さん すごい方なんですね。改めて、達セミのご縁でお知り合いになることができ、光栄に感じています。英語教育ニュースの最近の記事をすべて見させていただきたました。

今わたしの頭の中は次の授業でどのように中1レベルで学んだアイディアを活かそうか、わくわくしています。

わたしは教材研究が大好きで、とにかく身近にある研修会やワークショップは参加しています。どんなものでも、工夫次第で授業には活かせるし、参加費を払った以上は役に立たなかったと無駄なことはせずに、自分なりにアレンジする主義です。29年間の教員生活のうち、ほとんど中1の担当ですが、毎年同じ教材を使うことはほとんどありません。作り直したり、やり方を変えてみたりして、常にレベルアップに心がけています。また、生徒の能力や興味関心も年ごとに異なるので、それに応じて変えていっています。

まず、電子辞書ではなく、紙の辞書を使わせることの有効性についても漠然としたものしかなかったものが少し説得できる案をいただきました。
電子辞書はたしかに(使いこなせば)便利かもしれませんが、まずもって自分がうまく使えませんのでいらいらします。中学生には高価なもので、学校に持ってこさせると破損・盗難・他の機能(ゲームなど)で内職をするだの余計な生活指導上の問題が絡んできてそのことにエネルギーを費やさなければならない可能性があるので大反対なんです。また、中1レベルだとアルファベットさへまともに覚えていない時から電子辞書はアルファベットの位置すら分からず、紙の辞書で目にすることで、視覚から学ぶことも多いと思います。

単語は残念ながらわたしは教科書の予習の段階で家で単語を引いてくることを義務ずけていますが、その際にその単語を使った文を自分で作るか
辞書に載っている例文を書かせてきます。そこで(   )式の単語テストの方法がいかせるなーとアイディアを一ついただきました。授業では
英英辞典で意味を書いた文を配り、生徒に新出単語を書かせたりしていましたが、岡田さんから頂いたアイディアも取り入れて生徒参加がたのものもやってみます。

フラッシュカードの考えかた使い方も面白かったです。わたしの学校ではすでに中1最初に松香のフォニックスのテキストを使いルールが入っていあるので、リピートはさせていません。いきなり、カードを読ませたり
"Can you find the rule of phonics?"とルールの確認をさせ、family wordなどを言わせたり、辞書で引いてきた反対語や同意語などを言わせたりしています。単語も会話形式で、生徒が"~さんHow do you spell ~?"と質問したり、新出単語の際にも会話を取り入れています。

他にもまだまだ、たくさんアイディアをいただきました、感謝感謝です。

さっそく英語教育のメルマガに登録しました。本当にありがとうございます。

僕にとって凄くcommunicativeなトピックでした。
非常勤で行っている中学校で辞書指導が行われています。
 TTの授業のT2で入っているのですが、残念ながら、僕が見たときは例えば"train"と言う単語が出てきて「電車・汽車」で引かせて終わりになってました。
他にも例文や他の品詞でどうやって使われているかを見ずに終わってしまいました。

T1の先生は引かせるのに必死。しかし、僕は引き終わった子たちに「動詞での意味は?」とかを机間巡視して教えてました。

これで意外な発見をして喜ぶ生徒もいました。
これをきっかけに「辞書を読む」という習慣を身につけさせたいと思います。
小さな喜びを見つけさせて、そこから「辞書を読む」楽しさも教えたいです。

これはすぐに現場で使えることなので、実践してみます。

私も紙辞書派です!
日頃生徒にも、電子辞書より紙の辞書を引けー!!と教えているのです。
紙ベースだと、引いた語彙にアンダーラインが引けるから、
パラパラめくった時に過去の学習を確認できるし、
字を読む(探す)スピードも上がる気がします。
なにより、リンクをクリックしないと関連情報が見れない
電子辞書に比べ、それらが一目瞭然なのがいいですね。

生徒には、先生のコラムのように詳しい説明はできていませんでしたが、とても共感できました。
ありがとうございます

電子辞書が幅をきかせ、「私、電子辞書がないから・・」と調べないまま終わる・・という子どもも増えています。

ええ?って思うのですが。なんか違う。

最近の教科書は最後に意味も書いてあったりして辞書を身近に感じる指導がより大切になってきていると感じます。

紙の辞書離れは確かにあると思います。実際教員が電子辞書を薦めている現状もあり、おっしゃる通り紙の良さを伝えるのは難しいと思います。
コロケーションの予測での気づきはとても効果的に思います。
何かに結び付けて定着出来ればその分多く身につきやすいですね。
単語帳でも、単語単体だけで覚えるより、類語やチャンクを用いたほうが定着しやすいですよね。

今回は特にコロケーションの予測の活動が、紙の辞書を引く利点に合致していると思いました。また、生徒に単に調べて終わりにさせるのではなく、「気付き」を得させているところに授業中での指導の注意点があると感じました。

その他、辞書を読む癖をつけることによる、自立した自学自習の精神にも寄与するのではないかと考えられます。英語を進んで学ぼうとする生徒にとっては、よりいっそうの刺激的な活動につながるのではないでしょうか。語の成り立ちまで書かれている辞書ならば、もし生徒がそこに目を向ければ「気付き」の連続になることうけあいです。

最後に一点提案ですが、たとえば、cross my legの場合はlegsと複数形にして使うという用例を示し、「脚を組むには普通2本で組むから、legsと複数形にするんだよ」などと注釈を加えると、更に生徒の理解が深まるのではないかと思います。

紙の辞書の良さを生徒に分からせる活動を仕組むためには、教員自身も辞書をしっかり「読み込む」ことが必要でしょうね。
また、生徒の学力レベルに合った辞書を持たせることも大事なのだろうと思いました。

自分が高校生の頃(って、20年以上前)の辞書というと、収録語数だけで上級者向け(いわゆる「大学生になっても使える」)を勧められていた記憶があります。
最近の初・中級者向けの辞書を複数買いこんでいますが、イラストやイメージが数多く掲載されていたり、例文もなじみやすい(妙に難しくない)ものが増えていますね。

辞書を使いこなせることが、自学自習の第一歩と考えると、どの程度の学力の生徒に、どんな辞書を持たせるのが良いか、岡田先生のお勧めなどあれば、知りたいです。
(オープンなブログ上では難しいですかね)

すごい。確かにそういう演習(各語の共通点をみつけよう)をすると辞書を隈なくみなきゃならないし、何度も目にする「発音、アクセント、シラブル数、品詞、接頭辞、接尾辞」という言葉にも関心を持ちますよね。

中3生に「品詞」と言ってもたぶんなんのことだかわかってない子がほとんど。

でもこういう演習をすることで興味がわきそう。こうした演習に形容詞や副詞といった品詞を共通点にすると品詞についてもよく覚えられそうですね。勉強になりました。


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