語彙指導でも異文化理解教育を!
コラム
2009年7月06日
コラム
2009年7月06日
異文化理解教育とはとても幅広い領域のものです。違う文化に関する話を英語で読ませる、違う文化を持つ人、例えばALTと積極的に交流させる、短期・長期海外留学プログラムを企画し、異文化体験をさせる、といったことが異文化理解教育の主流と考えられがちですが、異文化理解教育は案外身近なところから始まります。
1 自分の考えや価値観を持つ(見つめなおす)。
2 自分の考えや価値観を周りの友達に表現できる。
3 友達の考えや価値観を聞いて受けとめることができる。
4 違う考えや価値観を持った友達とも意見の食い違いを話しあいで解決できる。
このような力をつけることは異文化理解教育の基礎ともいえましょう。
このことと語彙指導は関係なく思えるかもしれません。しかし、このような異文化理解教育と語彙指導を統合させることは非常に効果的なのです。
ランキングという語彙活動を例に説明しましょう。この活動は上記で述べた異文化理解教育の基礎がふくまれていると同時に語彙の定着も促進します。
たとえば、以下の単語を使うとします。これらの単語は高1レベルくらいで覚えるべき単語ですが、高1の生徒には未知語であるものも多いかと思われます。
friendship, belief, equality, money, love, effort, truth, respect, family, health
<第一段階>
まず 最初に「これらの単語を、あなたにとって大切なものの順に並べ替えてください」という指示をします。上記1の「自分の価値観を考える(見つめなおす)」という作業をすることになります。
この作業をするには、当然単語の意味がわからなければできません。しかも、自分にとって大切な順番に単語を並べ替えるには、今までの人生経験をふりかえりながら、あれこれと自分の書いたランキングを何回も見直すはずです。こうした作業を通して、単語の意味もかなり覚えてしまいます。
すなわち、この活動においては、語彙習得理論でいうところの「自己関与効果」が働きます。「自己関与効果」とは、その語彙に関して自分の経験や意見・感情を重ね合わせると、語彙の記憶は促進されるという効果のことです。
<第ニ段階>
次に、上記2の「自分の考えや価値観を周りの友達に表現できる」、3の「友達の考えや価値観を聞いて受けとめることができる」という段階の活動を行います。
ペアを組み、友達のランキングと自分のランキングを比べさせます。違う箇所に関して、なぜ、自分がなぜそういうランキングにしたかを話し、友達がそういうランキングになったのか、友だちの意見を聞きます。そして、友だちの意見から、自分のランキングを直したくなったら、修正します。修正したいと思う箇所がなければそのままにします。
この段階でも、語彙習得に関しては自己関与効果が働くほか、友達と違うランキングの箇所についてどうしてそういう順番になったかという“意見交換”が、語彙の記憶を促進してくれます。
<第三段階>
最後に、上記4の「違う考えや価値観を持った友達とも意見の食い違いを話しあいで解決できる。」という最も難しいレベルの活動に入ります。実際の生活でも、たとえば、文化祭のクラスの催し物を何に決めるか、というあるひとつの結論に達しなければならないことがよくあると思いますが、その疑似体験といえましょう。
別の人とペアを組み、今度は、ペアで一致したランキングを作らせます。今回は、同じランキングにしなければならないので、より深い“話しあい”が行われます。この話しあいは、生徒たちにとって、単語の意味をいろんな角度から考える機会ともなりますし、話しあいの内容とともに、単語は記億に深く刻まれていきます。
単語を覚えるということは、暗記ではありません。単語を使いながら、自分や友達の価値観を考えさせるというこの活動は、語彙習得にも効果的であり、かつ、異文化理解教育、ひいては、人間教育としての一環も担う意義深い活動といえるのではないでしょうか?
追記
このコラムは、実際に教室で活用できる語彙活動の紹介も含んでいるので、お読みいただいた先生方より、第1回コラムのフラッシュカードに関する実践をしてみました、または、第2回のmodified repetitionをこれから実践してみます、などというコメントもこちらの記事に4つほどいただいただきました。それだけでなく、私信でもいろんな方よりコメント、ご感想、実践レポートなどをいただきます。
私信でも非常にありがたいのですが、みなさんの実践の共有の場として、こちらのコメント欄をぜひご活用ください。
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はじめてこちらにコメントさせていただきます。
語彙力がついてからでも、そういうアクティビティはとっても効果がありそうですね^^
記憶の片隅にいた語彙達が生命力をとりもどしそうですし、
心も育ちそうです!
私は一人で勉強しているので、ペア組む人がいませんが、順番に並べて、自分の意見を言うくらいなら、自分のブログ上でも出来ると思いますので、近々やってみたいと思います。
そして、もしそのブログにコメントがもらえましたら、また自分なりに英語で考えてみようと思います。
「語彙指導で異文化理解教育」。
なるほど、そうなんだ、と思いました。活動は時間的には少し厳しいですが、生徒のoutputを増やしたかったので、ぜひ試してみようと思います。
コラム読ませていただきました。
私も高校生で実践できたらと思います!
もう今学期は授業がないので、夏休み明けのエンジンがかからない時期にやってみようかと思います。