フラッシュカードを効果的に使おう!
コラム
2009年5月10日
コラム
2009年5月10日

中学校では、教科書付属のフラッシュカードを購入し、それを使って新出語を導入することも多いかと思います。フラッシュカードとは、表に英単語、裏に日本語が書いてある、教室の生徒全員が見えるくらいの大きさのカードです。先生がそのカードを見せて、発音練習をさせたり、裏側に書いてある日本語の意味を導入したりします。
そのときに、以下のような練習方法をとる先生も少なくないでしょう。
1.英単語をみせて日本語が言えるようにさせる、または、日本語を見せて英単語が言えるようにさせる。
2.何回も繰り返し、だんだんそのスピードを速めていく。
3.すばやく英単語が口にだせるようになるまで練習させる(その名の通り”フラッシュ”する)。
フラッシュカードは、バラのカードですから、上記3を行うためには、先生は“手動”ですばやくカードを次々と提示しなければなりません。これはなかなか大変な技ですね^^。
実際、私の友人には、「私がフラッシュになってない(不器用なのですばやくフラッシュのようにカードを提示していくことができない)」と困っている人もいます。
しかし、皮肉なことに、この友人は単語の記億には効果的なことをしているのです。その理由を以下に述べます。
新出語には、非常に単純に言うと、文字情報(つづり)、音声情報(発音)、意味情報(単語の意味)の3つの情報がふくまれています。生徒にとっては、この3つの情報を脳の中で処理するためには、十分な時間が必要となります。したがって、先生のフラッシュカードをめくるスピードが速いと、脳が情報を処理しきれなくなり、意味のない単なる「オウム返し」になりがちです。
通訳の訓練法に「クイックレスポンス」というのがあるのだそうです。英単語から日本語、日本語から、英単語をすばやく言わせていくものです。通訳訓練でこの方法が有効なのは、このレベルの学習者には、すでに多くの英単語が脳の中に蓄積されており、それらを口に出すスピードを速めるためという目的であれば、このような「クイックレスポンス」は効果的といえましょう。
しかし、生徒の脳の中に蓄積されていない新出英単語の場合は、この方法は必ずしも効果的とはいえないのです。たとえ一時的に日本語から英単語がすばやく言えるようになったとしても、単語の脳への記銘(長期記憶保持)の妨げにもなりかねません。すなわち、一時的な“条件反射”は、単語の長期記憶にはあまり効果的とはいえないのです。
では、どうすれば、効果的になるか。
「新出単語を導入するときは、その単語の情報を、生徒の脳がゆっくりと処理する時間を与えてあげましょう」
が原則になります。フラッシュカードを使うなら、提示のスピードを速めるのではなく、逆に、だんだんゆっくりとしていく、という方法が考えられます。
1’ 英単語をみせて、日本語が言えるようにさせる、または、日本語を見せて、英単語が言えるようにさせる。
2’ 何回も繰り返すうちに、だんだんそのスピードをゆっくりにしていく。
3’ 日本語を提示した後、10秒から20秒、待たせてから、英単語を言わせる。
3’ では、生徒は、日本語の意味に相当する英単語を最大20秒頭の中でキープした後、その語をいわなければなりません。この20秒の間に、英単語が生徒の脳にじっくりときざまれていくのです。
または、フラッシュカードを導入時に使わずに、生徒にとってすでにほぼ定着している単語の復習として使うと効果的でしょう。そうした練習は「単語が使える訓練」になり非常に効果的です。通訳訓練の「クイックレスポンス」と同じ原理です。
さて、高校については、全くふれてきませんでした。高校での新出語の導入は、それぞれの高校によって、事情が違うでしょうが、予習で新出語を辞書で調べさせてくる、という方法は、かなり一般的に行われていることと思います。
しかしながら、授業中に、新出語を調べてきたかどうかを確認するだけで、導入活動を何にもしないというのはあまり単語の記億に効果的とはいえません。高校の場合、教科書の付属でフラッシュカードがついているということは稀でしょうから、先生がカードを作成してもいいでしょうし、それが手間であるようなら、一通り単語の意味を確認したのち、カードなしで、上記1’から3’を行ってもよいと思います。
フラッシュカードの一般的な使い方とは、少し違う提案をしてみました。教室でぜひお試しください。
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遅ればせながら、フラッシュカードの理論の実践をさせていただいています。早く書きたがる生徒たちに、「おあずけ」をさせてから、書かせてみると・・・・・
びっくりしました。
毎時間最初にするとほとんどの生徒が単語を覚えています。
うれしくなります。
どうもありがとうございます。
私はフラッシュカードの効果的な使用法について、認知心理学(特に間隔効果)やScaffoldingと関連させながら考察しております。
このコラムを拝見し、同じ発想の方がみえたのだと知り、
大変嬉しくなりました。
初コラム訪問&初コメントです。
最近、ちょうど、この方法をやってみはじめたところで、まさか岡田先生がそんな風に書いているとは驚きです!
素早くやっていると、早く答えられる子が「できる」と思われがちなのですが、実は「じっくり熟成」がよいみたいだと感じていたところなので、理論的にも裏付けられているのかと「へぇ!」でした。