コラム・エッセイ View All Columns

国際ビジネス英語エッセイ

世界を舞台にビジネスの世界で活躍してきた筆者が、自らの体験を交えて知的に綴る、スペシャルエッセイ

【第90回】
魅力の「ナショ・ジェオ」

2017年01月10日

アフガニスタンの少女
アフガニスタンの少女

今は昔のことだが、月刊「National Geographic:通称ナショ・ジェオ」誌を知って感動したのは忘れられないー。場所は中東アラビア。

石油担当商社マンとしてサウディ・アラビアに駐在時、あるプロジェクトの視察に行ったアラビア半島南西、イエーメン国境近くの僻地で、村の有力者に歓待され自宅に呼ばれた。その書斎に「National Geographic」シリーズがズラッと並んでたことが、強く印象に残っている。聞けば当主は米国に留学、その際同誌の魅力に取りつかれ定期購読としるとのことであった。

それ以来、中東の各地に出張の際注意していると、表紙の黄色の枠が特徴のこの月刊誌を、あちこちの事務所あるいは個人宅で見ることがあった。
なるほど、Geoとはギリシャ語で地球。Graphicとは画像。
各界の若手エリートは米・欧に留学したわけだが、インターネットのないあの時代、世界の地理情報源として同誌の写真・画像たっぷりのコンテンツに魅了されたに違いない。
*現在日本語版はじめ、世界の35ヶ国語で発行され、850万人以上が定期購読しているよし。

その発行元NGS: National Geographic Society米国地理学協会は、1888年、「increase and diffuse geographic knowledge(地理情報の増大と普及)」を目的として、ワシントンDCで篤志家のG.ハバードら33人によって設立されたNPO Non-Profit-Organization、即ち、寄付ベースによる協会だ。
海軍大将山本五十六(1884-1943)はハーバード大学で語学研修時、NGSの会員となり愛読者だったよし。
(現在はフォックス社が73%、残り27%が同協会)

そのNGSの二代目の理事長が、創始者の娘婿、電話の発明(1876)で有名なグラハム・ベルAlexander Graham Bell(1847-1922)だ。
べル研究所に名を残し、ベル電話会社は米国の最大の電話会社AT&T: The American Telephone & Telegraphs Companyへと発展していく。国際的にもビジネス界に大いに影響を与えた。

「シドモアと桜」の記(横浜)
「シドモアと桜」の記(横浜)

この協会が資金スポンサーとなり、多くの冒険・発見があったわけだが、有名なのはHiram Binghamによるインカ帝国の空中都市Machu Picchuマチュピチュ遺跡。また、英豪華船タイタニックの沈んだ姿を推進4,000メートルの大西洋海底で、発見したのも同協会の支援を得たRobert Ballardだった。
Jane Goodall chimpanzeeのチンパンジー研究も知られている。
そして、画像として有名なのが「現代のモナリザ」とも言われるアフガニスタンの13歳(当時)の少女Sharbat Gula。その鋭い眼光に魅入られる。

それにしても世の中、技術の進歩には目を見張らされる。
就中、ディジタルdigital技術。digitalの語源はラテン語の「指」digitusで、登場したころ「1or2=二進法の繰り返し」と教えられた。それが今や現実になり、日常生活のまわりにも多々あるなかの一つはディジ・カメだ。
あの小さな数ミリのレンズからを通しての鮮明な写真が可能で、さらにはinstagramという写真を世界のどこにあっても共有でいるソフト。これなど、アナログ(Analog)からの大変化だ。

さて、ひるがえってグローバル化が叫ばれる現下の我が国にあって、報道される教育方針は「技術教育に特化し教養科目は少なく」。
これ即ち、文系(人文科学)と理系(自然科学)の乖離ではないか。
ベルらが信じていた「科学や探究の力the power of science, exploration」とは即ち、ディジタル(黒か白か)化ではなく、人間の好奇心に基づく技術力の融合・連携に他ならない。
科学知識の向上は即ち、世界を変化させるためのシナリオ作りで、究極は地球を守ることであり、
その目的はinspire, illuminate and teach(ひらめき、啓発、教育)だ。

なお、NGSの最初の女性理事、エリザ・シドモア(1856-1928)は親日家だったが、その墓は横浜の外人墓地にある。


一般社団法人日本在外企業協会「月刊グロ―バル経営」(2017年1/2月合併号)より転載・加筆。


関連拙稿サイト:
使える英語、教養、地域研究

関連サイト:
エリザ・シドモア



« 【第89回】ペトロ(ペテロ)岐部(1587〜1639) 〜 稀代のグローバル人 | Main | 【第91回】サッカリンの娘たち 〜 新年のきもちの良い話 »


コメントを書く


名前:
メールアドレス:
ウェブサイト:
メッセージ:

スパム防止:
CAPTCHA Image

文字の確認:
 

最近の記事

コメント

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

世界最大規模のタイトル数を擁するペンギンリーダーズ。

多読授業をはじめ、英語副教材として、図書館用蔵書として、また純粋に英語での読書を楽しみたい方にも、ペンギンリーダーズならではの豊富なラインナップでそのニーズにお応えします。

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

生徒を世界デビューさせる一冊を、あなたのワンクリックで

英語教材のオンラインショップ「ELTBOOKS」 : 各種リーダーズと教材を割引価格で

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

質の高い、外国人英語講師を雇いたいなら…

日本在住の外国人英語教師のためのサイト「ELT News」の求人広告をご活用ください。ELTBOOKS.comのお客様は、求人広告欄が1ヶ月間無料

月々たった3,665円(一日相当約122円)の日刊英字新聞。

月々たった3,665円(一日相当約122円)の日刊英字新聞

最新ニュースを英語でチェックすれば、日常生活&ビジネスに役立つ英語力がグンッとアップ!

 
 

イベント情報