国際ビジネス英語エッセイ
世界を舞台にビジネスの世界で活躍してきた筆者が、自らの体験を交えて知的に綴る、スペシャルエッセイ
浜地 道雄
国際ビジネスコンサルタント
文教大学国際学部非常勤講師
カレンダーをめくり新年。日本人にとっては気持ちの引き締まり、かつ、希望をもつ晴れやかな思いのときである。
しかし、日本以外では、年末から年始にかけての様相は大分異なる。米国では感謝祭(11月の第四木曜日)に続く連休からもうクリスマス、大型連休気分。でも新年はことさら何もなく、僅かに出先の日本人会などで集まり、お神酒やお屠蘇を頂戴し、新年を祝う。しかし、現地社会では通常通り仕事をするということが多く、いきおい、出張先で家族と離れて越年したというほろ苦い思い出は一度だけではない。
カレンダー(暦)とはローマ人の間で新月が見えた時に「叫んで(知らせる)」ということで、「叫ぶCalare(ラテン語)」から朔日(ついたち)calendaeということになった。 毎月その日には、利益の計算や利息の支払いが行われたのでcalendarium=帳簿という意味もあるから、ビジネス上は重要だ。
その表記は米英で異なるので要注意。
英式では、日・月・年の順:1st January 2012(カンマなし)。米式では月・日・年の順:January 1, 2009(カンマあり)
ことに、時に見られる略式表記は問題だ。例えば、01/02/12(米式)と01/02/12(英式)は何が違うか? 前者は2012年1月2日だし、後者は同年2月1日。紛らわしいーー。
グレゴリアン暦での2012年1月1日(Sunday) は日本では平成24年。その
旧暦ならまだ2011年(平成23年)の12月8日 (先勝、師走 )。
旧暦1月1日は中国圏ではだいじで、Chinese Lunar New Year「春節」。
Lunarとは「月」、つまり陰暦だが、同じ陰暦でも、イスラム暦では1433年02-06 (Safar月 6日)。また、ユダヤ暦では5772年10-06 (Teveth月 6日)。神が世界を創世した日と言われる紀元前3761年9月7日を紀元とする。
これら暦の不思議については
「夜のBreakFast」(第30回)に記した。
そもそもJanuaryとはJanus [ジェイナス] = ヤーヌス(古代ローマの神)名を取ったもの。
ヤーヌスはハンガリーに多い名前で、コダーイの管弦楽組曲「ハーリ・ヤーノシュ(Háry János )」は有名だ。余談ながらその冒頭は壮大な「くしゃみsneezeハクションahchoo; kerchoo」の表現から始まる。これは「聞いている者がくしゃみをすれば、その話は本当のことである」というハンガリーの慣用表現からきている。米欧ではくしゃみをすると運が逃げるということで、God Bless Youと言われる。黙ってるのは失礼で、即座にThank youと慣用にする必要がある。
さて、このヤーヌス神は前後に顔があり、門を守護する神だった。古代ローマにおいては、軍隊などが出陣する時は、ヤーヌスを祭った門を通るしきたりがあった。 ということでヤーヌスは「門出の神」を意味する。だから、一年の始まりの月が、ヤーヌスにちなんで January となった、とものの本にある。ラテン語JānuāriusはJānus入口を司る神+-ARY。 1月は1年の入り口だ。
二つの顔を持つこのJanus神は、過去を見、未来を見る。
(Janus the two faced God--one looking to the future and one to the past)Janus-faced policyと言えば二面政策。歴史など物事の評価には Janus-faced view of historyの視点が重要だ。
新年Januaryにあたり、Janus神に倣い来し方を反省し、来る年の計画を練るという二面性は大事だ。但し、人たるもの、二枚舌(Double-Tonged)と同様、面従腹背、面従後言という二面性(Two-Faced)はこころして避けたい。
(社)日本在外企業協会 「グローバル経営」より転載・加筆
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